医学部と他の学部の受験での大きな違いのひとつに、医学部受験では「面接試験・小論文試験」がほぼ必須であることが挙げられます。これは、ただ勉強ができるだけでは医学部には入れないということを暗に示しています。では、面接試験や小論文試験では、医学部受験生のどのようなところが見られ、選抜の基準となっているのでしょうか?

なぜ医学部受験で面接・小論文が重視されているのか

医学部受験で面接試験と小論文は必須であると考えてもよいでしょう。国公立大学医学部の一般入試(前期・後期とも)のほぼ全大学で面接が課せられ、私立大学医学部のほぼすべての大学で面接と小論文が必須となっています。医学部受験では、なぜ面接・小論文がこんなに重視されているのかといえば、その人が医師という過酷な職業にどれだけ使命感や意気込みを持っているかを確認するためです。また、医師としての適性も見られています。大学側は成績が優秀なだけの生徒は求めていません。

「医学部は合格するのも大変、入学してからも大変」とは、医学部学生の誰もが口を揃えて言うことです。その大変さを乗り越えて医師免許を取得し、医師でしかできない社会貢献を行いたいのだという、その気持ちの強さを見られるのが面接や小論文なのです。

面接官は何を見ているのか

面接試験では受験生の何が試されているのかと言えば、ずばり「コミュニケーション能力」でしょう。いまの医療現場では「チーム医療」が求められており、各専門スタッフと連携して治療に当たります。ここで必要になってくるのがコミュニケーション能力です。チーム医療では、立場が違う相手の話を聞き、互いを尊重することが重要になってきます。

また、患者さんとのやり取りでもコミュニケーション能力は必須です。医師の中でも臨床医はサービス業の面も持ち、対話の力が必要とされます。医師の対話の力とは、大きな不安を抱えている患者さんの気持ちをくみ、その不安を和らげることです。医学部入学後すぐの1年次の段階で、大学病院にやって来るさまざまな世代の患者さんに対し、介助や案内をする実習を実施している医学部も多いことから、大学が対患者さんという観点でも、コミュニケーション能力を重視していることは自明でしょう。とはいうものの、近年の核家族化や少子化に伴う、世代間交流の希薄さから、医学部の優秀な学生の中にも他者とコミュニケーションを取るのが苦手な人が多くなっているのも事実です。

コミュニケーション能力は短期間で身につくものではありません。受験勉強という孤独な戦いの最中であっても、できるだけ世代の違う人たちから話を聞き、それに的確な受け答えができるようにしたいものです。特に浪人生は、ひとりの世界にこもりがちです。講師や教務スタッフが積極的に話しかけてくれる予備校は、面接対策という面でも医学部受験生にとって良い環境だと言えます。面接官と同様に、予備校の講師や教務スタッフも目上の人ですので、予備校での日常のやりとりから、会話の態度や言葉遣いに気をつけて、面接試験の際に面接官に対しても自然な対応ができるように身につけておきましょう。

また、限られた時間の中でどれだけ自己を表現し、「将来の医師としての自分」をいかに表現できるかということも面接試験では求められます。確固たる自分を持っている人は魅力的です。ニュースを見ている時、過去問を解いていて医療や社会の問題に触れた時、書籍を読んでいる時などに、「医師としての自分だったら」という思考を常に持つことを心がけましょう。

ほとんどがペーパーテストの受験の中で、面接試験は「人となり」を見られる、特殊な試験です。大学によって重要視するポイントが違い、それによって面接の形態も変わってきます。やみくもに不安感を募らせないように、一度面接について知識を整理してみてください。→「医学部・歯学部の面接について知ろう