医学部を目指す上で、受験勉強をする環境がいくつかありますが、各機関のメリットやデメリットについて知っておいた方が、最適な環境を選べると思います。そこで、各機関で働いている方々にお話しを伺いました。

1. 独学

「予備校や塾に通ったり、家庭教師をつけることなく、自分1人で勉強する方法です。
独学のメリットといえば、授業料がかからないこと、自分の自由に勉強ができることでしょうか。デメリットは全て自分で管理しなければならないということ。学習計画から使用する問題集、受験校、二次対策などを全て自分で決めて勉強していくというのは実に労力がいります。モチベーションを1人で保つのも苦労するのではないでしょうか。」と話してくれた予備校講師のHさん。
「何をすべきか?」を明確にでき、計画立てて、ゲームやテレビの誘惑に負けずにできる人には向いてそうです。

2. 家庭教師

家庭教師についてお話をしてくれたのは現役家庭教師として指導されているKさん。
「家庭教師の最大のメリットは1対1で授業ができ、塾・予備校に通わなくてもいいところだと思います。集団の中だと勉強に集中できない人や、自分のペースで勉強したい人に向いています。デメリットは基本的に先生は1人なので、授業に偏りが出やすかったり、金銭面での負担が大きいことでしょうか。」と話していました。
周りに人がいるのが気になる人や積極的に先生に質問しに行けない人などは合っているかもしれません。

3. 予備校

こちらは現役予備校講師のHさんとNさんに話を伺いました。
「予備校といってもいろいろなタイプがあります。大手のように集団指導を行うところから、少人数制で指導する予備校、個別指導をする予備校など。予備校のメリットは受験の情報量が多く、講師も受験のプロが多いということではないでしょうか。カリキュラムもしっかりと作成してくれ、チューターを配置しているところもあるので、年齢の近い先輩に質問をしたり、講師にいろいろなことを聞くこともできます。予備校の種類が多い分、自分に合ったものを選択できるところもメリットと言えるのではないでしょうか。」と予備校講師のNさん。
「逆にデメリットは独学に比べれば授業料がかかり、予備校によっては授業や講師の質がよくなかったりもするので、選ぶ際にはきちんと吟味しなければならないところですかね。」とHさん。

では、予備校を選ぶ際に参考なるように、医学部に特化した予備校をタイプ別に見ていきましょう。

1. 大手3大予備校

大手3大予備校というと、駿台、河合塾、代々木ゼミナールを指します。
こちらは数十名の集団指導を行う予備校で、コースもたくさんあり、その中に医学部受験系のコースも設置されています。主に国公立大学を目指す受験生をターゲットにしていて、受験生のレベルも中間層以上が対象のようです。もちろん私立医大のコースも用意されてはいます。
「授業内容はいわゆる学校の授業のようなオーソドックスなものです。たとえば数学の場合、『この公式はなぜ成り立つのか』といった授業を行います。国公立医学部の試験問題はただ答えを出せば良いというものではなく、その答えを導くまでの過程を書かせる問題が多いんですよ。数十人を指導するので、手取り足取り教えるということは正直できません。ですから、ある程度ベースとなる学力がついている受験生でないと授業についていくのは難しいかも知れませんね。」と予備校講師のHさんは話していました。

2. 医学部受験専門予備校(集団指導)

医学部専門予備校の集団指導は大手3大予備校よりも授業数が多いのが特徴です。医系予備校は私立大学を目指す層をターゲットにしていることが多いんだとか。予備校講師Hさんは、「私立医学部の受験問題はマーク形式に代表されるように答えのみを解答させる大学が多いと思います。ということは、答えに至るまでの過程が重要なのではなく、とにかく答えが出せれば良いというわけです。集団や個別に関わらず、医系予備校全般に言えることですが、『どうしてこの公式が成り立つのか』といったことは教えず、『理解しなくても良いから、とにかくパターンを覚えろ』という感じで指導する予備校が多いと思います。」と言っていました。
医系予備校では、受験のテクニックを教えて合格に導いているようですね。

3. 医学部受験専門予備校(少人数制指導+個別指導)

医系予備校では少人数制で受験勉強を教えている所が大半です。
少人数制指導は、予備校によっても多少異なりますが、数名~十数名程のクラス制で指導しています。クラスは入校する前に学力テストなどを行い、そのテスト結果から学力が当てはまるクラスに割り当てられるんだとか。ただ、このクラス分けも科目ごとにクラスを分けるのではなく、たとえば数学が50点で英語は80点だったら、間を取った65点程度のクラスに入れられるそうです。
そして「+個別指導」ですが、基本的に少人数制指導も集団で行う授業がメインなので、個別指導は補助的な役割となっています。つまり少人数制の授業についていけなかったり、理解をもっと深めたいという場合は個別指導のコースをプラスする形が一般的らしいです。
予備校の裏事情的な話をすると、集団指導は人件費等も考えると利益率が良いため、集団指導がメインになるのは必然なんだとか。そして、授業を担当する講師も集団指導はベテランのプロ講師で、補足の個別指導はプロ講師ではあるものの、新任で経験が浅い講師のこともあるようです。

4. 医学部受験専門予備校(完全個別指導)

少人数制などと組み合わせていない完全な個別指導の予備校は、生徒一人ひとりの学力に合った指導方法ができるのが特徴ではないでしょうか。
「個別指導予備校のメリットは生徒一人ひとりのゴール設定ができ、いつでも軌道修正ができることです。勉強が苦手な生徒の場合、科目ごとで成績にかなりのバラつきがあることが多いんですよ。英語だったら、文法は90点だけど長文読解は50点とか。個別指導以外の予備校だと、それぞれ状況に合わせた対応は難しいですが、個別指導だとそれもできるので、無駄なく学力を伸ばしていけると思います。また、指導実績のあるプロ講師が多く、現状の偏差値が低くて志望校に行けそうにないといった場合でも、指導スキルがあるので、学習計画、基礎固めからしっかりサポートできる体制が整っています。デメリットに関しては、集団指導よりも学費が多少かかり、競争心が薄れてしまうことでしょうか。」と話していたのは予備校講師のNさん。
こういった指導方法であれば、得意科目をしっかり伸ばして、苦手科目を強化するということもできそうですね。

3大予備校
(医系コース)
● 集団指導でコースも多い。
● 国公立を目指す学力の高い受験生に向いている。
● 手厚いサポート体制は期待できない。
医系予備校
(集団指導)
● 私立医学部を目指し、ある程度学力のある生徒に向いている。
● オーソドックスな勉強法よりもテクニックを教える。
● 生徒一人ひとりまでは対応できない。
医系予備校
(少人数制+個別)
● 基本は集団指導。個別指導はオプションであることが多い。
● 学力ごとでクラス分けされている。
● 上位クラスに入らないと合格は難しい。
医系完全個別指導 ● 1対1のマンツーマン指導。
● プロ講師が勉強を教え、生徒の学力に合わせた指導が受けられる。
● 集団指導よりも学費は高め。
家庭教師 ● 1対1のマンツーマン指導。
● きちんとしたカリキュラムを作成してもらえないことが多い。
● 自宅に訪問してくれるため、通学する必要がない。