スランプは誰にでもある

毎日メリハリをつけながら受験勉強していても、1年間ひたすら勉強するのに疲れたり、成績が伸び悩んでスランプに陥ることもあります。スランプは誰にでもあるものですが、いつまでもその状態から脱出できないのは問題です。

そんな時は、性格によっては、何日か勉強を完全に忘れて休暇を取ったり、運動をしたりと、勉強から離れて休養するのもいいでしょう。また、負けん気の強い生徒なら、あえて模試を受けてみることもお勧めします。生徒によっては目先を変えて推薦入試に挑戦しても良いのではないでしょうか。そうやっていつもとは違ったことをやることで、またやる気が出てくるのです。
一番いけないことは、やる気が出ないのに、今までと同じ毎日を無理に繰り返すことだと思います。最後には、スランプから抜けきれなくなり、入試当日までその状態を引きずってしまうのです。

保護者は受験生を追い込まない

実は、生徒がスランプに陥った時、ご両親がさらに追い打ちをかけるというケースをよく目にします。ご両親が我が子を心配して、思わず口を出したくなる気持ちは分かります。しかし、スランプに陥って一番焦っているのは本人です。ですから、ご両親にはそっと黙ってお子さんを見守る強さを持ってほしいと思います。

「最近どうなの?」「大丈夫?ちゃんと勉強しているの?」「成績が伸びてないんだから、もっと勉強しなさい」「そんなに遊んでていいの?」「いつまでテレビを見ているの!」など気になっても決して口に出さず、自分が手塩にかけて育てたお子さんを信じ、普段通りに接して見守ってあげてください。もしどうしても心配なら、お子さんに直接言うのではなく、予備校の担任に相談すると良いでしょう。

ご両親が心がけるべきは、成績が良い時はしっかり褒め、悪い時は責めたり追い詰めたりせず、何も言わないことです。
親というのは、とにかくいつまでも我が子が幼い頃のままだと思いがちですが、大学受験をしようというお子さんは、もう小さな子どもではありません。自分の意志で行動できる立派な大人になっています。そんなお子さんに「勉強しなさい」と言えば、モチベーションは一気に下がってしまいます。お子さんが自発的に勉強をするように導いてあげるのが、親としての役割と言えるでしょう。

良い親子関係が受験生を支える力になる

本来はお子さんが小さな頃から、どんなことでも話し合える親子関係を築いておくのが良いでしょう。しかし、今からそれを言っても仕方がないので、今回は医学部受験生を持つご両親から聞いた話を2、3例挙げますので、今できることを考えてみてください。

あるお母さんは、お子さんを毎日車で予備校まで送り迎えしているそうです。そのお母さんは「車で送り迎えをすると、車中は2人きりの空間なので、色々と話すようになりました。予備校への送り迎えは、息子を甘やかしているのではないかと思い悩む時期もありましたが、今の私たちにとっては様々なことを話し合う良い時間となっています」と話していました。時にはテレビの話題、勉強の進み具合から大学への夢まで、本当に多岐に渡って話しているそうです。

また、あるお母さんは「私と子どもはもともと、共通の趣味があったので、仲が良い親子だったと思います。今でも趣味のことから予備校でのことまで、なんでも話してくれます」と話していました。共通の趣味を持つとまで行かなくても、お子さんは何が好きなのかということに興味を持つのは、お子さんを理解し、信頼関係を築く上で大切だと思います。

さらに、あるお母さんは、お子さんが食事をする時はいつも食卓の向かい側に座って、一緒に食事をするそうです。「初めは、息子の考えを聞きたくて向かい側に座ったのですが、こちらが聞こうと意気込むとかえって息子は口をつぐんでしまい、会話になりませんでした。しかし、これは根比べだと思って、沈黙が続いても一緒に食事をするようにしました。そのうち、黙っているのが気まずくなったのか、ポツリポツリと会話が始まるようになり、今では、予備校での出来事から好きな歌手の話まで何でも話してくれます。どうやら、息子にとっても食事をしながらおしゃべりすることが息抜きになっているようです。先日は将来の夢の話をしてくれました。息子があんなにしっかりとした夢を持っていたなんて!」と嬉しそうにおっしゃっていたのが印象的でした。

受験が近づくと、やはりお子さんが何を考えているのか知りたくなりますし、ご両親も成績や志望校など色々心配になるものです。そうなってから慌てるのではなく、今のうちから良い親子関係を築く努力をしてください。
良い親子関係が築ければ、何かあった時にお子さんを注意しても、お子さんは素直に耳を傾けるでしょう。それは受験だけに限りません。努力して築いた良い親子関係はお互いにとっても一生大切なものとなるはずです。