1人での学習は応用力が身に付かない

医学部受験は本当に難しく、合格するには戦略を立てて受験勉強を進めていくしかありません。では、様々な学習法でのメリットとデメリットについて、詳しく見ていきましょう。

まず、かなり少数派だと思いますが、予備校にも行かず、家庭教師もつけないで、自宅で1人で勉強するという方法。確かに、集団授業のように分かっている部分を解説されたりなどの無駄な時間はないですが、1人で学習する一番の問題は、自分が理解できている点と、理解できていない点を客観的に見られないことではないでしょうか。きちんと理解していないのに、問題が解けた時点で勝手に理解したと思ってしまうことは避けなければなりません。
学習する範囲に偏りができたり、スランプに陥った時にアドバイスをしてくれる人もいないため、自分への甘えも出てしまうでしょう。また、小論文など誰かに客観的にチェックしてもらわなければ上達しないものに関しては、大きく出遅れるはずです。こういったことを総合すると、1人で受験勉強することはお勧めできません。

トータルな指導が受けられない家庭教師

次に考えられるのは家庭教師です。不得意な科目を補強するために、家庭教師をつけるという受験生もいるのではないでしょうか。家庭教師は個別指導なので、生徒を良く理解して指導できるように思うかもしれませんが、家庭教師の指導は生徒のペースに引きずられてしまいがちです。

つまり、大学合格というゴールを決めて、それに向けての年間計画を立てて効率良く学習するのではなく、生徒が問題を解いて分からなかった部分を家庭教師が教える、という形になっています。言い換えれば、生徒が敷いたレールの上を、家庭教師が生徒をカゴに入れて押しながら進んでいるようなものです。「そのレールの先が本当にゴールに続いているのか」、「そのスピードでゴールに辿り着けるのか」までは面倒を見ないのが現状となっています。

また、家庭教師は受験のプロとは違うので、受験教科をトータルで管理することはできません。たとえ教科ごとに先生を変えても、英語の家庭教師は英語を一生懸命教え、理科の家庭教師は生物や化学を一生懸命教えるだけで総合的に受験勉強を把握することは不可能なのです。
何度もお話していますが、医学部受験は各教科の合計点で合格が決まります。それぞれを1教科ごとで頑張っていても、学習配分に無駄な部分が生じてしまい、最終的にトータルで合格点に達しないのでは意味がありません。

家庭教師は黒板・ホワイトボードを使えない

さらにもう1つ家庭教師のデメリットがあります。それは、家庭教師は生徒の家で教えるため、黒板またはホワイトボードを使用できないということです。

皆さんは教師が勉強を教える際にノートに書こうが、黒板やホワイトボードに書こうが同じだと思っているのではないでしょうか。ところが、黒板やホワイトボードを使った授業は、単にノートに書いて教えるよりも記憶の残り方がまったく違うのです。小さい子どもに英語を教える時、「体を使って覚える」という理由から、ゲームや歌を交えて教えると良いという話を聞いたことがあると思います。それは受験生でも同じです。
耳から入ってくる先生の声の調子や抑揚、目から入ってくる黒板、ホワイトボードの文字や図などの情報を、自分の手を使って書き写すという行為は、全て受験生に体を使って覚えさせるということなのです。

指導に限界のある集団授業

何人かの生徒をまとめて指導する集団授業の場合、授業レベルを誰に合わせるのかが問題になります。レベルごとにクラスを分けていても、同じクラスにいる生徒全員が全く同じ理解度だということはありえません。仮に生物の授業で、「代謝」は非常によく理解しているのに、「遺伝・分子遺伝」になるとあまり理解できていないというように、同じ生徒でも分野で理解度に差があります。それをテストの結果で分けたクラスで、上から3分の1の当たりをターゲットにして授業を進めることは生徒のためにはなりません。授業内容を既に理解できている生徒にとっても、理解できていない生徒にとっても時間の無駄です。

集団授業の予備校は授業料が安いので、これは大きなメリットになりますが、指導に関しては限界があると言わざるを得ないでしょう。また、全部がというわけではありませんが、集団授業をしている予備校は基本的に生徒数に対して講師が少ないのが現状です。そのために、生徒が質問をしに行ってもなかなか講師が捕まらないということもよく耳にします。勉強の基本は、分からないことがあったら、それを解決して、理解・納得してから進むこと。この積み重ねなのです。勉強内容が分からない時、すぐにそれが解決できないような予備校は他を考え直す必要があるかもしれません。

個別指導の予備校は質で判断

最後に講師と生徒が1対1で指導する個別指導の予備校を考えてみましょう。個別指導ですから、指導内容や時間の無駄もありませんし、生徒一人ひとりのこともよく理解して指導できます。応用力をつけるには、「なぜ間違ったのか」「どういった考え方が間違いに至るか」などを講師に示してもらい、「正解に至るまでの道筋の立て方」を習得する必要がありますが、それが可能なのは個別指導だけと言えるでしょう。

しかし、個別指導の予備校ならどこでも良いわけではありません。
まず、その予備校が医学部受験に詳しいかどうかがポイントになります。これまで何度もお話してきましたが、医学部受験はとても難しく、独自の出題をする大学も多いです。これらに対応しながら、生徒一人ひとりのための授業ができなければ意味がありません。

また、教科書の指導以外に、医学部ならではの面接、小論文、集団討論の指導から、生徒の適性を考慮した志望校選びのアドバイスまでが求められます。医学部受験に特化してない予備校スタッフに、こういったきめ細やかな指導はできないのではないでしょうか。
予備校によっては講師不足を補うためにアルバイトの学生が講師を務めたり、同じ科目でも授業の度に講師が変わる場合もあります。そうなると、講師の教え方や考え方が一定でないため、生徒が混乱する原因となり、生徒の進捗状況や弱点すら把握できません。何よりも生徒が安心して学ぶことができなくなります。
ですから、予備校を選ぶ時はまず、医学部受験に特化していて、各科目で1年間同じ講師が責任を持って1人の生徒を受け持つ予備校を選ぶべきでしょう。

しかし、それでもまだ十分ではありません。たとえ1年間同じ講師が教えていても、1人生徒を担当している講師が連携を取っていなければ、結局受験教科をトータルで見ることができないからです。そのために必要となるのが、教科ごとの講師とは別に、講師同士の橋渡しとなる「担任」です。担任は医学部受験のプロとして生徒の得意・不得意を把握し、各大学の出題傾向を分析して、どの教科にどれだけの時間を費やすかという学習プランから、受験校・併願校までの重要な決定に関する提案をしていかなければなりません。

さらに、担任は生徒と保護者との橋渡しもします。保護者は身内であるが故に、自分の子どもを正しく評価していないことがあります。勉強をせず家でくつろいでいる子どもを見ていて不安になり、つい必要以上に口出しをして親子関係が悪化するなど、受験という試練を抱えたお子さんとの間で様々なトラブルが起こることがあります。それをフォローするのが担任の役目でもあるのです。
ですから、予備校選びでは、授業をする講師の他に、受験のプロである担任役となるスタッフがいるかどうかもチェックしてください。

また、家庭教師の是非の所でも触れましたが、体を使って覚える学習のためには、個別指導であっても講師が黒板やホワイトボードを使って教えるべきです。
それ以外に自習室の充実も大きな要素です。家では誘惑があって勉強に集中できなかったり、疑問点があってもすぐに質問できないため、予備校生の多くは自主勉強時間の大半を自習室で学習します。ですから、自習室が365日、朝から晩まで開放されていて、満室にもならず、いつでも使えて静かな環境だということが、医学部受験の合否を左右するといっても過言ではありません。加えて自習室が開放されている間、講師や質問に答えてくれるスタッフが常駐していて、いつでも疑問を解消できる体制が整っていることも大切です。

浪人生や社会人にこそ個別指導の予備校

浪人すると決めた瞬間、つまり不合格が決定したその日から受験勉強を開始してくださいというお話をしました。しかし、翌年度の受験生のために2月から開講している集団指導の予備校はごくわずかです。ところが個別指導の予備校なら対応できます。その点も考えて、より早くスタートを切れるベストな予備校を見つけてください。

また、一旦社会人として働いていたものの、一念発起して医学部を目指そうという人もいます。彼らはスタートが春からというわけではありません。そして、受験勉強からしばらく離れていたために各教科の理解度も通常の受験生より低い場合が多いはずです。通常の受験生より、さらにしっかりした戦略が必要となる社会人が、無駄なく受験勉強を進めるためには、1対1で教えてもらえる個別指導の予備校がベストと言えます。