試験日が重複する場合は、勝負日と安全日を作る

私立大学医学部の一般入試において、2012年度では一次試験の日程は多少の重複がありましたが、2013年度は、1日に一次試験で2~3校、二次試験に至っては3~5校も試験日が重なっています。一次試験日のスタートは、センター試験の2日後である1月22日という異例の早さにも関わらず、愛知医科大学と東邦大学が重なってしまいました。翌日の1月23日も岩手医科大学、兵庫医科大学、杏林大学が重複。さらに、1月24日は順天堂大学と金沢医科大学が重なりました。このように、センター試験の2日後から第一希望にしたい大学が連続するので、2013年度は試し受験をする日程的な余裕はないと考えてください。

幸いなことに、一次試験ではいずれの日もランクの異なる大学の重複となっています。そこで、強気に勝負する日と、受験生が比較的少なく安全であろう日を交互に織り交ぜて受験するのが良いでしょう。勝負日と安全日の組み合わせは、大きな駆け引きとなります。どの日にどの大学を受験するか、どの日を勝負日にするかは受験指導経験の豊富な予備校講師などのプロに相談することをお勧めします。

二次試験の重複も同様で、試験日が重なる大学は受験生が分散します。一次試験で合格した複数の大学の二次試験日が重なった場合、無理して受けずに合格の可能性の高い方を受験してください。
また、受験科目や出題形式を考慮して、点数が取れそうな方式を選ぶことも大切です。全体的に易しめの問題が多数出題される大学、マークシート方式でやや難しい出題をしている大学などを考え、自分にとってどの大学を受験すれば有利になるのかをしっかりと見極める必要があります。いずれにしても、二次試験が重複した場合、いつどの大学を受けるかは戦術になりますから、受験のプロに相談するべきです。

他にも、岩手医科大学は福岡会場、関西医科大学は東京会場、福岡大学は名古屋会場と、一次試験の地方試験会場を新設した大学もあります。地方で受験できる試験会場も早めに調べて万全の準備を整えましょう。

受験スケジュールを上手に立てて差をつけろ!

理想的な受験日程の組み方は、二次試験も含めて連続受験は4~5日程度までが望ましいでしょう。これ以上連続する場合は、疲れなどを考慮し、少なくとも1日は休みを取るようにスケジュールを組んでください。
出来れば本命校より前に、難易度の低い大学を数校受験するのがベストです。ここで問題になるのは、やや難易度の低い大学の二次試験と難しい大学の一次試験が重なってしまった場合です。願書を出す段階では、誰もが易しい大学の一次試験に合格しても二次試験は捨てて、難しい大学の一次試験を受けようと考えます。しかし、いざ一次合格を手にしてしまうと難しい大学と易しめの大学の間で心が揺れてしまうものです。また、二次試験でも半分は落ちてしまいますから、必ずしも合格できるわけではありません。

第一志望でない大学の二次試験と、第一志望校の一次試験の受験日が重複し、どちらを受験するかで迷った時は、後悔しないためにも様々なことを考慮するために高校や予備校の先生に相談しましょう。
また、受験日が他校と連続したために受験者が減る大学もあります。2010年度は杏林大学の日程が変更したため、杏林大学、藤田保健衛生大学、金沢医科大学の1次試験日が連続しました。
たとえば、人気のある杏林大学と東邦大学を受験することに決めた場合、試験が4日連続になるため苦しくなります。このような状況だと、杏林大学や東邦大学に合格できるレベルの受験生は、金沢医科大学を受験しないのではないだろうかという予測ができます。実際、例年2200~2300人の受験生がいた金沢医科大学は2010年度では1981人と2000人の大台を割ってしまったのです。更に、年度によって試験日程も分散したり、重複したりと変化します。2013年度は多くの大学の試験日が重複しているため、各大学とも受験者数は大きく変動するでしょう。

ここ数年試験日が連続し、上手に休みが取れない受験生が増えてきています。疲れてくると、実力も十分に発揮できません。「一生に一度のことだから、死ぬ気で頑張る」と無理なスケジュールを立てる受験生も多いのですが、そのような無理をしていては合格できる大学も不合格になってしまいます。スケジュールはくれぐれも無理のないように立てましょう。

私立大は後期まで粘って合格のチャンスを増やす

合格が次々と発表されると、まったく合格していない受験生、志望校に合格できていない受験生、補欠合格しか持っていない受験生には焦りが生じます。どの大学でもそうですが、医学部受験は補欠合格を手にしていても、繰り上げ合格ができない場合もあるので、補欠合格していても決して安心してはいけません。
そこでお勧めしたいのが後期試験です。医学部受験は最後まで諦めなかった人が合格します。補欠合格しかしていない受験生も、気を抜かずに後期試験を受験してください。

私立大で後期試験を実施しているのは、2013年度では昭和医大学(二期)、埼玉医科大学、藤田保健衛生大学、近畿大学、大阪医科大学の5校です。
通常、後期の定員は少ないものですが、埼玉医科大学の定員は前期が約60人、後期が約40人と、後期の定員が他大学に比べて多いのが特徴です。優秀な受験生は前期ですでに抜けていますから、合格のチャンスはあります。後期試験の方が入試問題の内容が難しいのではないかと思うかもしれませんが、埼玉医科大学、大阪医科大学は問題も前期と同じレベルです。近畿大学の後期定員はたったの5人ですが、実は毎年30~50人の合格者を出しています。近畿大の後期は他学部と共通の試験問題となるため問題の難易度も低く、合格者の平均偏差値が低かったこともありました。「定員数が少ないから」「平均偏差値が高いから」といって諦めず、最後の最後までモチベーションを保ち続ければ合格を手にできます。それを信じて努力を続けることが大切なのです。

合格ラインを押し上げる「奨学金制度」

志望校を選ぶ上で注目したいのは、昭和大学や順天堂大学などに代表される奨学金制度です。
順天堂大学は、東京地域医療医師奨学金制度として、東京都地域枠入試での入学者には2080万円の修学費と、生活費月額10万円を貸与(他に、千葉県医師修学資金貸与制度、新潟県医師養成修学資金貸与制度、基礎医学研究者養成奨学金なども有)。2013年度、昭和医大学は選抜Ⅰ期の合格者上位78人とセンター試験利用(地域選抜)の12人に初年度の授業料300万円を免除するとしています。
これによって、これまで学費を理由に第一志望校を諦めていた学生が、奨学金制度の充実によって学べる可能性が出てきたため、優秀な受験生が今まで以上に集まり、倍率も偏差値も大きく押し上げられる結果となりました。

大学は、優秀な学生を確保して医師国家試験の合格率を上げ、大学のイメージアップにつなげたいという狙いがあるので、今後も奨学金制度を充実させる私立大は増えてくるでしょう。
自分自身が奨学金制度を利用するつもりがなくても、大学側で奨学金制度が導入されると合格ラインが上がってしまうので、考慮しないわけにはいきません。志望校の奨学金制度導入は、自分が実際に利用するかに関わらず、気にかけておいてください。