知識と技術、そして何より人への「愛情」

ここまで医療の現状や近年の医療の変化を見てきましたが、結局社会はどのような医師を求めているのでしょうか。

人々が求める医師像として考えられるのは次のようなものです。まず、人間性豊かで愛情に溢れ、患者の立場に立って親身に対応してくれる医師。医療とは患者の生活全体も見ていく必要があり、その意味で、医師は患者が抱える問題を解決してくれる存在なのです。さらに、求められるものとして経験豊富で世界水準の医学知識と技術を持ち、洞察力が優れている医師が挙げられます。

人間性豊かで愛情に溢れているという資質は、医師にとって非常に重要です。なぜなら、患者は医師に精神的なサポートを求めてくることがあるからです。病気にかかった患者は弱気で、医師の一言に敏感になり、時には医師に病気と闘う勇気を与えられることもありますが、医師の言葉で深く傷つくこともあります。1度患者を傷つけてしまえば、簡単に取り返しのつくものではありません。患者のことを思いやる医師であれば、信頼関係にも繋がるインフォームド・コンセントでも、患者が理解しやすい言葉を選らんで説明してくれるでしょう。

また、高度な専門医とは別に、各地域で常に患者と接し、予防医学の知識をもって生活指導を含めた健康管理や日常診療をしてくれる総合内科医、つまり、かかりつけ医も地域社会には必要です。かかりつけ医には、解決できるレパートリーや知識が豊富な医師としての技量が要求されます。

広い知識を持った医師を目指すにせよ、専門性を高めたスペシャリストを目指すにせよ、医師としての社会的責任を常に自覚し、生命を重んじた態度で患者と向き合い、地域住民に対しても医療従事者に対しても良き指導者とならなければいけません。
理想とする医師像はそれぞれであるでしょう。しかし「どんな時も患者の立場に立って思いやりを持つ」ことこそが、医師に一番求められていることかもしれません。

いずれにしても、医師になるためには、医学部に合格しなければ始まりません。医療現場が抱えている問題、社会から求められている医師像を理解し、そこに自らの夢を重ね合わせ、目指す医師像を明確にすることが医学部合格への第一歩であり、医師への第一歩となるのです。しっかりとした強い信念を持って医学部を目指してください。