医学生の学力低下「ある」と答えた大学が90%以上だったと、全国医学部長病院長会議が発表しました。その理由の1位に、「ゆとり教育」で「授業中の私語」などを挙げていますが、どう思いますか?

松井 今の学生たちは、計算や書くなど試験のテクニックはとても優れているのですが、一方で、医療人として求められるヒューマンスキル、コンセプシャルスキルが少ないですね。例えば子供の頃、近所の友人と少年野球をやっていれば、上下関係やグループ内で問題がおきた際の対処する力が求められます。しかし、コンピューターゲームなど1人で出来るものだと表面化はしません。生活様式の変化により、集団生活で自然に身に付いたものは少ないので、大学側では専門に入る前に努力して意識的に取り入れないといけなくなってきています。

可児 良いところを伸ばすのがゆとり教育の良さでしたが、好きな事しかやらないなど偏ってしまうと我儘に育ち、指導が難しくなってきていることはありますね。

では、松井先生にお伺いします。医師を目指すゆとり世代の生徒に、どのような取り組みをしていますか?

松井 授業以外では、部活動などに入ることを勧めています。コミュニティーを作ることで授業以外のグループもでき、また部活内での問題解決などが望めます。授業では、医療系総合大学として、アセンブリ教育に力を入れています。教職員と学生が、学部・学科の壁を乗り越え共通の活動を行い、患者さん中心のチーム医療に必要不可欠な協調性・責任感などを養う取り組みを実施しています。また、少人数学習による問題解決能力の開発や、グループディスカッションやプレゼンテーションといったコミュニケーション能力の開発なども行っています。

メディカルラボ 可児 良友

最後に、お2人の今後の目標を教えて下さい。

松井 先輩として、医学部に入った後輩にまずは卒業して医師になって欲しい。そして、将来診る患者さんに責任を持てる医師になって欲しいと思います。患者さんと接する時間を大切にし、患者さんから信頼される医師になって欲しいですね。そのために、医師国家試験に合格する勉強はもちろんのこと、色々な経験を積んで、将来医師になるのに必要な人間関係を構築したり、問題を自ら解決してゆく力を磨いて欲しいと思います。

可児 医学部受験は、受験者数が年々増え続け厳しさを増しています。医学部に合格できるテクニックや知識はもちろんのこと、自分自身で考える力や決断することを学んで欲しいと思っています。それは集団授業では出来ない、個別授業ならではだと思うので、勉強だけではない、生きるために必要な知識を身につけて欲しいと思います。

藤田保健衛生大学 医学部
松井 俊和(まつい としかず)

1978年3月
名古屋保健衛生大学 医学部卒業
1978年3月
名古屋保健衛生大学 医学部卒業
1984年3月
名古屋保健衛生大学 大学院医学研究科修了
1984年4月
セントラル病院内科医師として勤務
1985年2月
藤田保健衛生大学 医学部助手(内科学)
1986年3月
藤田保健衛生大学 医学部講師
(総合医科学研究所・分子遺伝学 内科学兼任)
1989年2月
藤田保健衛生大学 医学部講師(内科学)
1995年8月
藤田保健衛生大学 医学部助教授(内科学)
2000年4月
藤田保健衛生大学 医学部教授(臨床医学総論)
藤田保健衛生大学 医学部 医学教育企画室
室長兼務
2011年4月
藤田保健衛生大学 医学部 教務委員長
主な専門領域:
医学教育、医療面接などのコミュニケーション教育、シミュレーション教育、血液内科学
学会活動:
日本医学教育学会理事、日本血液学会代議員
日本内科学会

メディカルラボ本部 教務統轄
可児 良友(かに よしとも)

1991年より大手予備校にて受験生の指導に携わり、数多くの医学部・歯学部志望者を合格に導く。その豊富な経験をもとに、マンツーマン授業で合格を確実なものにする医系学部受験の指導メソッドを構築。2006年に医系専門予備校メディカルラボの開校責任者となる。カリキュラムの監修や講師・スタッフを統括する本部教務統括として、また生物の講師として、現在も医学部受験の最前線で活躍中。各地で医学部受験をテーマに講演を行い、近年はテレビ等のマスコミ出演も多数。