医学部大学&医学部専門予備校が考える良い医療とは?医師に必要な資質とは?

医師不足が叫ばれる昨今、医学部大学の定員枠増員対応。
一方で、数は増えたが質はどうなる?と懸念の声があがっている。
ゆとり教育による学力低下や、人格評価を含まない日本の医師国家試験。
よい医師とは、よい医師に必要な資質とは、一体何だろうか?
医学部大学と医学部専門予備校に取材した。

まずは、お2人それぞれの大学、予備校での役割を教えてください。

松井 本学の医学部1回生で入学、卒業後、大学院含め主に血液内科で臨床経験を積んできました。2000年に教育改革の流れから本学に医学教育企画室ができ、現在も行っている医学教育の企画・運営が主な仕事となりました。講座縦割りの授業から横割りへ、また臨床実習に行く前の準備教育など、カリキュラム全体の企画・運営をしています。

可児 22年前から予備校で生物の講師をしておりました。2005年までは大手予備校の集団授業で医学部を志望する生徒を担当していたこともあり、2006年、医学部専門予備校メディカルラボの立ち上げ時から本校で生物の授業やカリキュラムの監修などを行っております。医学部入試が年々厳しくなる中で、生徒一人ひとりの学力と志望校に合わせた個別カリキュラムに基づく1対1授業で、多くの生徒を医学部に送り込んできました。

ありがとうございます。次に、OECD(経済協力開発機構)の数値からもわかるように、日本の医師不足について、どう思われますか?

松井 今は、より多くの医師が必要なんです。例えば、当直医が必要。休日の代わりの医師が必要。また、医療の高度化により診療の細分化が進んでいたり、良い医療をするために、医師の労働環境も良くする必要があるんです。しかし僕たちの時代は、違っていました。僕達の生活の時計を患者さんの生活の時計に変えることが、医師としての始まりでした。

藤田保健衛生大学 松井教授

患者さんの時計に変えるとは、どういうことでしょうか?

松井 患者さんに呼ばれたら、24時間いつでもかけつける。必要であれば病院に寝泊まりする。プライベートがなかったんですね。

可児 僕が生まれ育った田舎は、人口5000人に対して先生が1人で診てました。きっと休みなく、患者さんの時計で働いていたと思います。

松井 患者さんの時計に合わせるのは、覚悟がいることです。現在の医師不足ですが、地域や科によっては顕著に表れています。婦人科や救急など大変な診療科に入るのが自分の生活のことを考えると”二の足を踏む”状態になっていると思います。

昔よりは、待遇が改善されつつあるといっても、まだまだ医師の労働環境は過酷だと思いますが、医師を目指す学生には何が大切だと思いますか?

松井 医師になるためには、大学での6年間、医師国家試験、そしてその後の研修医などを経て長い道のりが必要です。医大に入るまでや医師国家試験に合格するのがゴールではなく、医師として患者さんを治すのが役割です。その前につまづかないように、どんな医師になりたいか?自分が患者だったらどんな医療人にかかりたいか?など、医師としての自覚を高め、ビジョンを見せるのも大切だと思っています。

可児 僕達の仕事は医大に合格させることですが、医師の仕事はやはり、志を持つことが大切だと思います。そのために、個別指導の中で生徒の考えを引き出し、この先の医師としてのビジョンを見せるようにしています。