医学部受験の「地域枠」とは?

医師不足の解消と、地域による医師数の偏りを改善するために、国公立・私立を合わせて8割にものぼる大学医学部で「地域枠」を設け定員を増員する取り組みがされています。「地域枠」と聞くと、「その大学のある地域の出身じゃないと受験できないのでは?」と思う人も多いかと思いますが、大学所在地の隣県や、全国から募集している大学も少なくありません。地域枠を利用しての受験は、一般的な医学部入試よりも定員あたりの出願者数や難易度が低くなる場合もあります。また、奨学金や修学助成金があるケースも多いです。ですが、卒業後に医師となってからの条件があり、そこも踏まえて挑む必要があります。地域枠受験とはどういったものなのかを詳しく見ていきましょう。

どんな人が地域枠で受験することができるの?

地域枠はその地域で働く医師を確保するための試みなので、多くの場合は大学の所在地である都道府県の出身者、高校卒業者となっています。ですが、大学所在地の隣県出身者も出願できる、全国から募集する、とする大学もかなりあります。また一般入試のほか、推薦入試、AO入試、編入学入試でも実施している大学があり、定員や条件も大学によってまちまちなので、確認をする必要があります。現役生を対象としている大学が多いですが、一浪まで地域枠で受験できるとしている大学もあります。

地域枠受験の流れ

地域枠受験は一般的な受験とは流れが少し違います。国公立医学部に多いケースを例にとって見てみましょう。

国公立医学部で推薦入試やAO入試で地域枠が実施される場合、10月ごろに調査書や志願理由書、高校の校長などの推薦書を揃えて提出します。その後、各大学で個別に面接(個人・グループ)や小論文、口述試験などが行われます。そして、センター試験の受験を義務付けている大学がほとんどです。センター試験の成績に基準を設けている大学もあり、それに達しない場合は不合格となってしまいます。

大学によっては、夏ごろから動き出し、論文を提出したり、市区町村の長との面接、施設でのボランティア活動とそのレポートの提出などを課しているところもあります。その内容によっては、かなり時間をとられる物になるので、不合格になった時のリスクも考えて挑む必要があります。

その一方で、地域枠受験の活動の頑張りを認められ、センター試験の結果が一般受験の基準に満たないような結果でも合格できたというケースもあります。

地域枠は奨学金がある場合が多い

人となりや志を重要視してもらえる地域枠は人によってはとても嬉しい受験方法だと思います。さらに良いことを挙げるとすれば、各都道府県から入学金や学費、さらには生活費などといった「修学資金」を大学在学中に貸与してもらえる場合が多いということでしょう。しかし、これに関しては条件があります。また、条件を満たすことで返済を免除されることもあります。その条件について次でお話します。

地域枠で入学した学生に対する条件

地域枠はその地域の医師不足を解消するために設けられているものです。そこで卒業後、医師になった時に条件が付きます。それは「医師国家試験に合格した後、大学や各都道府県が指定する研修病院で卒後臨床試験を受け、その後も一定期間、大学や各都道府県が指定する医療機関で医師として働くこと」です。この「一定期間」ですが、卒後臨床研修(初期・後期の合計4年間)とその後の5年間としている場合が多く、計9年間は勤務地の自由な選択ができないということになります。この9年が長いか短いかの感じ方は人それぞれでしょうし、医学部在学中に地域医療とは別の方向に進みたいと思う可能性もあります。地域枠受験の利用は、この条件をふまえた上で決める必要があります。

この条件に法的拘束力はありませんが、無視した場合、貸与された奨学金を利息をつけて一括返金するなどのペナルティーが発生します。また、出身高校から地域枠利用の合格者が輩出されないといった事態も想定されるでしょう。

地域枠受験に向いている人とは?

地域枠の考査方法や条件などを合わせて考えると、「地域医療に強い興味があり、全国どこの地域でも医師として頑張れる」という気持ちがある人が利用するべきでしょう。医師としての方向性を医学部に入ってから決めようと考えている人には、地域枠の付帯条件は重たい物になってしまう可能性があります。医師になった時の自分を思い描き、その姿が地域枠の条件とマッチしているかの見極めが肝心です。