今はE判定だとしても、相性のいい医学部を見つけることで合格を狙えることもあります。自分の得意不得意と医学部入試の出題傾向、志願者動向などを見極めて「入りやすい医学部」を見つけましょう。

志望校を決める前にしておかなければならないこと

志望校を持つことは効率の良い無駄のない学習計画やモチベーションの維持につながりますが、志望校を決める前にぜひやっておかなければならないことがあります。それは、自分の学力を正確に把握することです。自分の力を客観的に計ることは非常に難しいことで、プロの目を借りることをおすすめします。予備校などで実力を計ってもらえば、その結果を指導に反映してもらうことができます。さらに自分だけの受験対策、スケジューリングをしてもらいたいのであれば、個別指導を取り入れている予備校を選択しましょう。

また、夏までは基礎学力の取得に努めます。その過程でなんとなく志望校を考えてみてください。夏までにだいたいの志望高決めをし、夏の間にその学校の過去問を一度通して解いてみます。その採点結果で、夏以降の受験対策を練り直したり、志望校を変更するという作業をしていきます。

各科目の合計点が合格ラインに届けばいい

夏に過去問を解いて、自己採点結果を見た時に念頭に置いて欲しいのは、「各科目の合計点が合格ラインに届けばいい」ということです。ひとつの科目の点数だけにとらわれずに、合計点であと何点足りないかという考え方をまず持ちましょう。そして、自分の得意不得意と志望校の各科目の難易度を考え合わせながら、足りない点数を各科目に振り分けて目標点数を設定します。高得点や満点を狙うのではなく、トータルに目を向けて各科目の目標点数を設定する方法は、受験後半戦の勉強を無駄なく無理のないものにします。

また、過去問を解いてみた結果と合格ラインがあまりにもかけ離れていた場合は、志望校を変更するということも考えるべきでしょう。医学部受験生の最大の目標は「医学部に合格すること」だと肝に銘じて、大学名や所在地にとらわれることなく「全国どこの大学でも合格できるのならかまわない」という考え方を持つことも大切です。

入りやすい医学部とはどういう医学部か

ほとんどの人が複数の大学を受験すると思いますが、その中に「入りやすい医学部」を志望校として1校でも多く設定しておくのは良い方法です。では、「入りやすい医学部」とはどんな医学部なのでしょうか?

「入りやすい医学部」は人によって違います。受験生の得意不得意と、医学部の出題傾向を照らし合わせることで、その人の「入りやすい医学部」を割り出すことが可能です。この医学部の出題傾向を知るには情報収集に多大な労力が必要となり、医学部全体の情報を個人で収集することは不可能です。また、情報を収集したとしても、その分析にはノウハウが必要となります。個々の得意不得意の客観的な把握という点も合わせ、医学部予備校の力を借りることが最も効率の良い方法だと考えられます。

ここで「入りやすい医学部」の選び方をざっくりと紹介します。実際はいくつもの要因によって割り出すもっと複雑な作業ですので、正確を期したい人は受験のプロフェッショナルに相談することをおすすめします。

<Step1.国公立か?私立か?>

国公立医学部を受験するか、私立の医学部を受験するかを左右するもっともたる要因は「数学」だと言えるでしょう。国公立志望と私立志望では、最終的に求められる能力が違ってきます。国公立と私立の医学部受験の大きな違いのひとつに「センター試験」があげられ、国公立医学部はこのセンター試験で85%~90%以上の得点が求められます。次の二次試験では大問にじっくりと取り組むことが要求され、解答に導く過程も重視されます。解答が合っていたとしても、その過程が違えば誤答とされることもありえます。総じて私立に比べると論理的な数学の学力が問われるのが国公立と言えるでしょう。論理的な数学の力に大きな不安を抱えていて、受験まで時間がない状況にある人は、志望校を私立に変更することを考えたほうが良いかもしれません。国公立を希望すると、どうしても一定時間をセンター試験対策に費やさなければなりません。センター試験では二次試験で使用しない科目も受験しなければならないケースがほとんどなので、その負担を考えるとセンター試験直後に始まる私立医学部の入試にひびく可能性もあります。二兎を追うものは一兎も得ずにならないように気をつけてください。

<Step2.得意科目の配点が高い医学部を探す>

合否は試験科目全体の合計点によって決まります。なので、得意科目の配点が高い医学部を選べば、苦手科目を得意科目の点数でカバーできることが可能です。

また、私立医学部では試験がマーク方式か記述式かというテスト方式の得意不得意についても加味して考えましょう。

<Step3.志願者数の動向を知る>

倍率が低くなればなるほど合格しやすいということは明らかな事実でしょう。ライバルはなるべく少ないほうがいい。国公立と私立の医学部では、志願者数の増減を決めるポイントが若干違います。

【国公立医学部の志願者数が動くポイント】

  • 一段階選抜の予告倍率の変更があるか…2016年度は愛媛大学医学部が一段階選抜の倍率を8倍から6倍に変更、信州大学医学部が7倍から5倍に、熊本大学医学部が5倍から4倍に変更します。予告倍率が低くなると、センター試験で失敗してしまった人が倦厭して志願者数が少なくなる可能性があります。
  • 入試科目の変更…理科が1科目だったのが、2科目試験をしなければならなくなるといった科目の変更は志願者数を左右します。また、科目は前年と同じでも、その配点が変更されている場合もあるので注意が必要です。センターと二次試験の配点が変更になっている場合もあります。
  • 後期試験の廃止…2016年度は信州大学医学部と熊本大学医学部で後期日程が廃止となります。国公立医学部の倍率は全体で見て約5.5倍で推移しているので、廃止になった後期日程の志願者数分が、前期日程や他の大学の後期日程に流れる可能性が考えられます。
  • 隔年現象を知る…国公立医学部では一年おきに志願者数が増減する「隔年現象」が見られます。視野に入れている医学部が志願者数の多い年なのか、少ない年なのか、過去3年くらいの志願者数を見て確認してみてください。

【私立医学部の志願者数が動くポイント】

  • 入試日程…同じ日に試験が実施される医学部が複数あると、志願者数が分散します。また、他医学部と重複日程になっていると、その試験実施場所によって志願者数が減ることが考えられます。一次試験が単独日程でも、二次試験が重複日程になっているケースもあるので確認しましょう。
  • 学費面の変更…学費の引き下げや奨学金制度の導入などで志願者数が増加することがあります。同時に志願者の学力レベルも上がることが考えられます。
  • 定員の変更…入学受け入れする定員の増減は志願者数に影響を与えると考えられます。
  • 入試会場がどこか…全国に入試会場を設けることの多い私立医学部ですが、大学によっては所在地でしか入試を行わないところもあります。前後の他の大学の入試日程によっては、長距離の移動を倦厭してそういった大学を避ける受験生がいることも考えられます。

<Step4.その他に気をつけたいこと>

国公立医学部を受験する場合は、センター試験後に出願となりますが、自分が得点できた時こそ注意が必要になります。全体の平均点が上がった場合、その平均点を引き上げているのは上位者になります。平均点が上がっていて、自分が高い得点を取れた時は、ライバルたちも高い得点が取れていると考えて出願校を決めましょう。

私立大学ではⅡ期・後期試験の倍率が非常に高くなっていますが、これらの試験実施までに他大学に合格している志願者がいるので、最後まで諦めないことです。「難易度が高く、募集定員が少数」と思われがちなⅡ期・後期試験ですが、実際には前期試験と同じレベルの問題であったり、他学部と共通の問題で易しかったりする場合もあり、合格者も定員より多く取るケースもあります。各学校の詳細については、予備校などでプロの先生に相談してみるとよいでしょう。