2015年9月にタレントの北斗晶さんが乳がんで右乳房全摘出手術を受け、大きなニュースとなりました。乳がんは女性のがん罹患(りかん)の約20%を占める病気で、日本人女性の約12人に1人がかかると言われています[※1]。その啓発活動「ピンクリボン運動」は近年日本でも盛んになっています。医学部入試でも取り上げられる可能性が高いテーマだと考えられるので、ここで確認をしておきましょう。

ピンクリボンフェスティバルとは?

「ピンクリボン運動」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか? 1980年代にアメリカで始まり、2000年頃から日本でも盛んになってきた、ピンクのリボンを世界共通のシンボルマークにした、“乳がんの早期発見・早期診断・早期治療の大切さを伝える”啓発活動のことです。「東京タワーがピンク色にライトアップされた」というニュースを見たことのある人も多いはず。この運動は、行政、市民団体、企業などがそれぞれ独自の活動を展開していて、そのロゴマークはピンクのリボンに統一されているものの、それぞれの活動によってデザインが違っています。「ピンクリボンフェスティバル」は、2015年で13年目を迎える、日本で最大級のピンクリボン運動です。

「ピンクリボンフェスティバル」は東京、神戸、仙台で開催され、「乳がん月間」とされる10月に合わせて、様々なイベントを通して乳がんへの関心を呼び掛けています。街から視覚的にうったえかけようという、建造物の「ピンクライトアップ」を始め、シンポジウムやセミナー、ウォーキングイベントなどを開催。また、街頭ビジョンなどで放映される動画の制作、デザイン賞の実施なども行っています。

「乳がん」とはどんな病気でしょう?

「乳がん」は女性の乳房にできるがんで、その多くは乳管から発生する「乳管がん」です。「小葉」と呼ばれる乳房のふくらみの部分にできる「小葉がん」というものもあります。その他に特殊な型の乳がんがありますが、あまり多くはありません。一般的に乳がんはしこりとして見つかると知られていますが、その前に乳房の周りのリンパ節や遠くの臓器に転移して見つかることもあり、広がりやすさや転移のしやすさは乳がんの種類や性質によって大きく異なります。

乳がんはマンモグラフィや超音波検査などの乳がん検診で早期発見されることが多いですが、北斗晶さんのように毎年検診を受けていても発見することが出来ないケースもあります。その場合は、セルフチェックが発見の有効な手段となります。自分で気づく乳がんの症状には、「乳房のしこり」、「乳房にエクボができるなどの皮膚の変化」、「乳房周辺のリンパ節の腫れ」などがあげられます。

乳がんの発生要因は女性ホルモンのエストロゲンが深く関与していることが知られていて、経口避妊薬やホルモン療法などで、ホルモンを体外から摂取している場合、そのリスクは高くなる可能性があります。また、エストロゲン濃度が維持されている期間が長いほど発症リスクが上がると言われているので、初潮や出産経験、授乳歴などが影響すると考えられています。他のがんと同じように、飲酒習慣や喫煙により、リスクが高くなることもほぼ確実とされています。

生涯に乳がんを患う日本人女性は、現在、12人に1人と言われていて、厚生労働省の調べによると2014年の乳がんによる死亡数は13,240人にのぼります。また、乳がんの特徴として、他のがんのように年齢が高くなるほど罹患率が高くなるのではなく、30代から増加し始めて40代後半から50代でピークを迎えるということがあります。

乳がんを医学部受験でどう見るか

医学部受験での乳がんに関する出題は、2013年に推薦入試で取り上げられた例があります。この時は直近の「女優アンジェリーナ・ジョリーさんが乳がんのリスクが高かったため、両方の乳房を切除する手術をした」というニュース記事が小論文で取り上げられたので、北斗晶さんで注目の的となった「乳がん」は2016年の入試でも出題される可能性が考えられます。

また、乳がん治療に力を入れている大学病院として、「聖マリアンナ医科大学」、「順天堂大学」、「東京女子医科大学」、「近畿大学」、「京都府立医科大学」、「北里大学」などがメディアに取り上げられています。

これらの大学病院の乳がんに対する取り組みの一例をあげると、聖マリアンナ医科大学附属究所では、乳がんなどの乳腺疾患に特化した診療施設「ブレスト&イメージング先端医療センター附属クリニック」を開院。ブレストセンターでは世界最高水準のケアをモットーに、高い知識と技能を兼ね備えたスタッフによるチーム医療を提供し、イメージングセンターでは乳腺CT/MRIなどを駆使して、乳がんの早期発見と、発見後の正確な広がりの評価や化学療法後の効果判定を行っています。

順天堂大学医学部附属順天堂医院では、2006年に大学病院では初めての「乳腺センター」を開設。乳腺科、放射線科、形成外科、病理診断科、化学療法室、医療福祉相談室、看護相談室、がん治療センター、緩和ケアセンターなどが密接に連携して、大学病院ならではの安心・最善の医療の提供を目指しています。

東京女子医科大学では第二外科学教室に乳腺外科を開設し、乳がんの再発を防ぐ確実な手術を目指しています。乳がんの手術件数は年間約200件。また、附属青山病院に乳がん検診センターを開設していて、日本乳がん検診精度管理中央機構・マンモグラフィ施設画像評価委員会の審査で最上位のA判定を獲得しています。

乳がん治療に興味のある受験生は、このような大学を受験校として視野に入れてみてはいかがでしょうか。