男性よりも綿密なキャリアプランを考えなければならない女性医師

どのような職種の女性にも共通することですが、女性は結婚や出産といったライフイベントがキャリアに大きく影響を与えます。そのこともあり、有資格で長く働くことを理由のひとつとして医師を目指す女性も多いのではないでしょうか? 医師となるには医学部合格後に6年間を大学で学び、国家試験合格後に医師となってからも、2年間の研修期間が必要となります。現役で医学部に合格したとしても、この研修期間が終わるまでに26歳となります。女性がその先の生き方について深く考える年ごろです。

女性医師が多い診療科とは

厚生労働省の2012年「医師・歯科医師・薬剤師調査」によると、女性医師の多い診療科は、最も割合が多いのが皮膚科で、以下、眼科、麻酔科、小児科、産婦人科と続きます。その反対に外科全般で女性医師は少なくなっています。

皮膚科や眼科、麻酔科などは、緊急の呼び出しなどが少なく、家庭と仕事を両立させやすい職場を女性医師が選択しているということでしょう。特に皮膚科が多いことは、女性の興味の持ちやすい分野で、美容クリニックなどの子育て期に働きやすい受け入れ口があることも考えられます。その一方で激務と言われている小児科や産婦人科に女性医師が多いのは、女性ならではの分野や、子育てという女性にとって身近なものがベースになっている診療科だからでしょう。

外科全般で女性医師が少ないことは、緊急の呼び出しが多く、長時間の立ち仕事が続くハードな職場であることが理由だと考えられます。

本来の自分の目標を見失わずに

医師としてはさほど過酷ではない現場に身を置く女性医師の中には、自分が医師を志した時の気持ちと現状に大きなギャップを感じて悩んでしまう人もいるようです。子育ても医師としての仕事も余裕を持ってこなしているけれども、自分が目指していた医師像とはかけはなれていると考えてしまうのです。

医師は専門科を変える「転科」ということができますが、一般的に内科から外科への転科は難しいとされていて、それと同じように皮膚科や眼科のような専門科から内科のような広い知識が必要な科への転科も難しいとされています。30代後半で気持ちと現状のギャップに気付いて転科を試みたとすると、ひとまわりも下の医師と共に再び研修を受けるガッツも必要になります。そして、その時にすでに家庭があり、子どもがいたとしたら、家族の理解と大きな協力が必要になると言えるでしょう。

気持ちを大切にできる医師としてのあり方を探してみましょう

女性医師が産休・育休後どれくらいから復帰すればいいかということに、「できるだけ早く復帰したほうが良い」というのが現場の声です。職員の保育施設を完備している病院も多くありますが、まだまだ十分な体制とは言えないようです。2人目の子どもを妊娠して、一度職場を離れることにしたという女性医師の話も耳にします。

そのような状況の中で、東京女子医科大学では「女性医師再教育センター」を創立し、「女性医師 再教育-復帰プロジェクト」活動を行っています。面談やヒアリングなどを行った後、同大学の附属病院や提携する全国各地の病院で3ヶ月の研修を受け、職場復帰を果たすというプロジェクトです。

今から医学部を目指す人は、そのような取り組みを行っている大学を視野に入れてみることも、医師となってからの働きやすさに関係してくるかもしれません。また、医学部の高学年になって臨床研修をする病院を選択するときに、女性医師の復帰実績などについて聞いてみることも大切です。

いつまでも働きたいという気持ちと夢のはざまで苦しまないように――その気持ちを持って早い時期から選択をしていくことが必要なのかもしれません。