音楽を聴きながら勉強はOK? NG!?

「ある曲をBGMにすると暗記力がUPする」といった話は諸説ありますが、音楽と勉強効率をはっきりと結びつけた研究はまだまだ数が少なく、しっかりとした科学的根拠は実証されていないようです。常に音楽を流しながらの環境で勉強することは、いざ本番の試験で、その無音の環境に落ち着かなくなってしまうことも考えられますし、情報のひとつである「音」が学習に何らかの形で悪い影響を与えてしまう可能性も考えられます。しかし、みなさんも音楽で気持ちが高まったり、安らいだりすることは経験上知っているのではないでしょうか? 音楽のその力を勉強に利用する方法はないのでしょうか?

勉強の前や休憩時間、試験前に音楽を活用してみよう

陸上選手や舞台俳優には、練習や稽古の前に同じ曲を聴き、レースや本番前にもその曲を聴いて平常心を保つということをする人が多くいます。通常の練習時と同じ音楽を聴くことで、大舞台での過剰な緊張を抑え、いつもの精神状態に近づけることができるというのです。心理的なものが大きく作用して試験本番に力が出せないタイプの人は、試す価値のある方法と言えるでしょう。

また、音楽のリラックス効果については数々の研究で実証されています。不安やイライラなどのマイナスの感情で記憶力や勉強の効率を低下させないために、休憩時間に音楽を聴くことを取り入れてみましょう。体を動かすことでもストレスは発散されるので、音楽を聴きながらの散歩はより効果的。目に入った景色、耳から入る音楽が、休憩前にした勉強と結びついて強く記憶に残るといったことも期待できます。心理的にスランプに陥ってどうしても勉強が手につかないといった時は、思いきって1時間のランニングに出て、音楽に浸りながら頭と心を空っぽにしてしまうのも良い方法です。

どんな音楽を聴けば効果的なのか

リラックスのために聴く音楽は、自分の好きなものであればジャンルを問わずどんな曲でも効果があります。テンポの速い曲を聴いて、落ち着くというよりも気分が高揚するように感じていても、それはリラックス効果を得られている状態です。

普段からあまり音楽に親しみがなく、何を聴いていいのかわからないという人にはモーツアルトを選ぶのがベストかもしれません。音楽と勉強の効率の因果関係に関する研究に、京都大学とハーバード大学が共同で行った「モーツアルトの音楽が集中力を高める」というものがあります。これは8歳から9歳までの25人と、65歳から75歳までの25人にストループテストという認知機能を検査するテストを、モーツアルトのメヌエットをBGMに流した時、同曲を編曲した曲をBGMにした時、音楽を流さない状態で行われました。ストループテストとは、書かれている言葉の色を認識するテストで、例えば画面に「赤」という言葉が青色で書かれているところを、色につられることなく回答者は「赤」と答える、といった内容です。この実験の結果、どちらの年齢のグループでも、モーツアルトのメヌエットをBGMに流した時が最も反応速度が速く、間違いも少なかったということです。試験中にBGMは流せないので、この実験結果をそのまま活用することは難しいですが、休憩時間に聴いて次の勉強への集中力を高められるとしたら、試してみる価値はありそうですね。

また、クラシックの中でもバロック音楽が記憶力を高めるのには効果があるという説もあります。ここで重要なのはテンポで1分間に60~64拍程度のテンポの曲が最適とのこと。これに当てはまる有名な曲をあげると、バッハの「G線上のアリア」やパッヘンベルの「カノン」などになります。

このようなことをふまえて、学習に対する何らかの高い効果を求めるのではなく、「学習の質を向上させる」気分転換のひとつの方法として音楽を活用してみてはいかがでしょうか? スマートフォン1台とイヤホンひとつで気持ちが切り替えられるとしたら、こんなに手軽で便利な方法はありません。